<金口木舌>どっちが大事?


この記事を書いた人 琉球新報社

 わが家の小学生の娘がご立腹である。衆院選の投開票日が10月22日になり、運動会が1週間延期になった。おかげで、楽しみにしていた月末のハロウィーンまで延期になるという

▼「子どもの運動会と選挙、どっちが大事なの」と不満をぶつけてくるのだ。「今回の選挙はね、国の行く末を決める大事な政権選択選挙だよ」という教科書風の説明は通用しそうにない。娘にちょっと同情している
▼選挙の方は「よーいドン」の合図を前に早くも過熱気味だ。勢力図を塗り替える政界再編が進んでいる。批判合戦と腹の探り合い。広がる疑心暗鬼。順位が決まったところで、運動会のようなすがすがしさは期待できまい
▼「自由」「希望」を党名に冠する2党の陣取り合戦が今選挙最大の関心事。在京紙やテレビの選挙報道もそこに焦点を当てる。リベラル勢力は正念場を迎えた。存亡をかけて発足した新党は「立憲」と「民主」を掲げている
▼沖縄から中央政界の騒ぎを見ていて心配だ。辺野古新基地やトラブル続きのオスプレイの問題が埋没しないだろうか。着工したから、配備から5年もたったから、と片付けられては困る
▼運動会を先延ばしにされた娘から「どっちが大事なの」と問われた父親は悩む。有権者そっちのけの政党間の舌戦を見るにつけ、子どもの未来を見据えた政権選択とは何か、答えに窮するのだ。