<金口木舌>「長寿」ブランドの力


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 北国ロシアから見れば、沖縄の温暖な気候や自然は、やはり魅力的に映るらしい。「長寿の島」というイメージも強いようだ

▼ロシア最大の経済団体オーポラロシアの訪問団が金武町を訪れ、交流を深めることに合意した。団体には約50万社の中小企業が加盟する。関心を寄せるのが沖縄の食文化や健康、医療の分野だ
▼「ここには健康づくりのための全ての条件がそろっている」。調印式を終えたアレクサンドル・カリーニン会長はそう強調した。町側は人材交流から始め、医療やスポーツ目的の観光誘致につなげたい考えで、期待は大きい
▼ロシアとはあまり縁がなかった金武町だが、自然体験などができる町内の施設がロシア側の目に留まった。「健康と癒やし」を掲げた町づくりを進めていることが、県内初の提携につながった
▼訪問団によると、ロシアの平均寿命は男性66歳、女性76歳と先進国の中では短く、どう延ばすかが国の課題となっているという。同行したモスクワ大教授は「沖縄の食文化を研究し母国に伝えたい。地元の学者と共同研究もやりたい」と意欲的だった
▼平均寿命で国内トップから滑り落ちた沖縄だが、81・9歳(2015年)はロシアと比べ10歳以上長い。取材で実感したのは「長寿」のブランドが持つ力だった。日本一を取り戻すことができれば、さらに魅力ある島になるはずだ。