<金口木舌>魅力ある候補者?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ことしは東の勝利で終わった那覇大綱挽(つなひき)は、1971年10月10日に復活した。那覇市制施行50周年を記念してのものだった

▼「綱ひき」に那覇は「挽」の字、与那原のそれは「曳」を当てる。糸満は「引」だ。同訓異字について詳述した「漢字の使い分けときあかし辞典」(円満字二郎著)によると、「挽」は「力を振り絞って」という意味が強くなるそうだ
▼「曳」だと、引くものが「後ろに長く伸びる」との意を持つ。どちらの綱も、地元に愛されていることに変わりない。同訓に「惹(ひ)く」や「魅(ひ)く」があるが、その字が気になるのはこちらの方か
▼第48回衆議院議員選挙の公示日だ。「惹」も「魅」にも人の気持ちを向けさせる意味があるが「惹」は「刺激して行動に駆り立てる」、「魅」は「自然と気持ちが向くようになる」とのニュアンスがあるそうだ
▼訴えて支持を得ることからすれば「惹」の字が選挙には合うようだが「反発を惹き起こす」と一気に離れかねない。「魅」は本来「魔物に心奪われる」の意だそうだから、こちらも穏やかではない。外づらではなく問われるべきは政策の中身だ
▼期間中は「お願いにまいりました」と丁重だったのが、どこ吹く風といった政治をされては困る。祭りのあとのようなむなしさを感じないために、有権者もしっかりと政策を見て、確実に1票を投じよう。