<金口木舌>「公平」よりも「真実の追究」


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 トランプ米大統領がツイッターで「NBCとその放送網から偽ニュースが流れている」とし、米NBCの放送免許の取り消しに動く可能性を示唆した。都合の悪いニュースを流すテレビ局に対する圧力と言える

▼昨年2月、当時の総務相が放送法の定める「政治的公平」への違反を重ねる放送局には、電波停止を命じる可能性に言及したことを思い出した。権力者が報道を規制するかのような発言は、メディアの萎縮につながる
▼かつて日本は戦前の言論統制の結果、戦争へと突き進んだ過去がある。メディアの萎縮は、突き詰めると暮らしに関わる問題だ
▼前回の衆院選前に、自民党は在京放送局に報道の「公平中立、公正の確保」を求める文書を出した。弊紙にも読者から「基地反対ばかりではなく、賛成の意見も公平に載せるべきだ」という電話が時々ある
▼ジャーナリストの原寿雄さんは著書で「『公平』が最終目標のようになってしまうと、ジャーナリズムたりえなくなる」と指摘する。さらに「公平はあくまで手法。公平の門を突き抜けて真実に迫るのでなければ、ジャーナリズムの目的は達し得ない」とも
▼東村で米軍ヘリの事故が起きた。基地の賛否の公平報道を突き抜け、事故の向こうにある真実とは何か。今日から新聞週間が始まった。代表標語は「新聞で見分けるフェイク知るファクト」。