<金口木舌>最高裁判官の国民審査


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 新党が名乗りを上げ、混戦模様の衆院選。今回の総選挙は選挙区と比例区を記すだけでなく、最高裁判所裁判官の国民審査もある

▼最高裁裁判官に就任後、初めての衆院選で審査を受け、10年たったら衆院選で再審査を受けると規定されている。有権者は罷免したい裁判官に「×」印を書く。「×」が過半数となれば罷免されるが、これまで審査を経て解職された裁判官はいない
▼今回審査対象となる裁判官は7人。最高裁判決と聞いて思い出すのは、昨年12月の国が県を提訴した辺野古埋め立て承認取り消しの違法確認訴訟だ。7人のうち1人がこの訴訟に関わり「承認取り消しは違法」との判断を示した
▼民法の夫婦別姓を認めない規定が憲法違反かが争われた2015年12月の判決は、合憲という初判断が出た。今回審査対象の2人の裁判官がその裁判に関わり、2人とも「合憲」だった
▼昨年の参院選で「1票の格差」を合憲とした判決では、審査対象の7人のうち6人が「合憲」、1人は違憲状態とする個別意見を出した。それぞれ判決内容を見ると、違いがあり興味深い
▼ちなみに、ふさわしい裁判官として「○」印を書くと無効になる。分からないからといって、何も書かずに出すと「罷免すべきではない」と見なされる。国と県が裁判で争う場面が多い沖縄。「司法の独立」が問われる中、国民審査の意議は大きい。