<金口木舌>未来への一手


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 14歳2カ月。藤井聡太さんは史上最年少で将棋のプロ棋士となった。デビュー戦は白星。相手は、当時現役最年長だった76歳の加藤一二三・九段。加藤さんが持つ14歳7カ月の記録を62年ぶりに塗り替えた

▼中学生でプロ棋士となったのは、これまで4人しかいない。加藤さんのほか、谷川浩司、羽生善治、渡辺明の各氏がいるだけだ。いずれも将棋界の内外に名をとどろかせるトップ棋士となった
▼藤井四段は、その後も快進撃を続け29連勝。30年ぶりに公式戦の新記録を打ち立てた。「望外の結果」。中学生と思えない言葉遣いで淡々と語る姿も話題となった。数十手先を読むというプロ棋士の世界。その中でも抜群の集中力で勝負の先を見抜く
▼選挙の場でも10代の存在がクローズアップされるようになった。18歳から選挙権を持つことになったからだ。昨年7月の参院選が、制度が適用されて初の国政選挙となった
▼高校生たちは何を考えているのか。参院選前に話を聴くと、思った以上にしっかり将来のことを考えていた。「大学に進学する。教育についてちゃんと取り上げてくれる人を」「福祉の分野に進みたい。待遇改善してほしい」
▼衆院選では一部を除き結果が出た。当選した議員たちが何を訴えたのか、有権者は忘れてはならない。未来を見据えた一手をしっかり打ってくれるのか、若者も見ている。