<金口木舌>過ちは「永遠の過去に」


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 37年も前だが、スポーツ好きならずとも記憶に新しいのでは。東西冷戦下の1980年、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議し、米国がモスクワ五輪ボイコットを主導。日本も追随した

▼五輪を夢見た日本代表は涙で参加を訴えた。テレビ画面に映る選手の憤りは、国民に強烈なインパクトを与えた。五輪の主役は選手だ。政治がその当たり前のことを踏みにじった。幻の日本代表の涙に多くの国民が共感した
▼日本スポーツ学会は10日に開いたシンポジウムで、モスクワ五輪ボイコット調査を公表した。約8割の代表選手が反対し、6割近くが「その後の日本スポーツ界への悪影響」を指摘した。選手の苦悩は今も続いているのだ
▼あれから40年後の2020年に東京五輪・パラリンピックが開かれる。テロ対策やドーピング防止などの課題がある中、各競技の強化が進む。ソフトボールもその一つだ
▼20年以降も見据えた取り組みが特徴だ。ジュニア世代の本格的な強化を目指し、「逸材」を意味する「GEM」をキーワードにプロジェクトを展開。11月には14歳以下の日本代表を選考し、年明けには海外遠征も予定する
▼その最終選考会に喜屋原咲さん(読谷中2年)が残った。150センチと小柄ながら抜群の守備力が売りだ。選考会で「全力を尽くす」とした言葉に誓いたい。努力する喜びを無にした過ちは「永遠の過去に」。