<金口木舌>沖縄にも地震や津波


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 11月5日は「世界津波の日」。2015年の国連総会で日本が主導した決議案が、満場一致で採択された。東日本大震災から5年を前に、津波への国際的な意識を高めたいと142カ国が共同提案した

▼日本は11月5日を「津波防災の日」と定めている。1854年のこの日、安政南海地震で紀伊半島などが大津波に襲われた。和歌山県広川町には、稲わらに村人が火を付け、人々を誘導して命を救った「稲むらの火」の逸話が残る
▼沖縄は地震が少ないと思われがちだ。だが、沖縄地方と周辺では2016年にマグニチュード0・5以上の地震が1万5219回観測されている。震度3以上も15年に12回、16年は6回あった
▼沖縄には活火山もある。鹿児島県徳之島の西約60キロにある沖縄最北端の硫黄鳥島と、西表島沖約20キロにある西表島北北東海底火山だ。硫黄鳥島は1959年に噴火し、全島民が避難した後は無人島になっている
▼静岡大などの研究チームの調査によると、石垣島では約2千年前から巨大津波が計4回発生。多くの犠牲者を出した1771年の「明和の大津波」は最大約30メートルの高さに達したと推定される
▼石垣島と宮古島では150~400年の間隔で大津波が発生しているという。津波や大地震は人々が忘れたころに起きる怖さがある。過去の痕跡に学び、教訓とすることが防災につながる。