<金口木舌>誇りがつくる街の魅力


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 「地域への愛着」を指す「シビックプライド」という言葉がある。地域の一員として、その場をよりよい場所にしていく意識を持つ、との意味がある

▼郷土愛が向けられる広がりよりも、限られた場所に対する誇り。地元愛と言った方が近いのかもしれない。都市計画に、この考え方が導入されている事例もあるそうだ
▼飲食店の協力を得ながら男女の出会いの場をつくる街中での合コン「街コン」は各地で行われている。嘉手納町商工会青年部が毎年この時期に開催する「街コン」が、九州地区商工会青年部の会合で表彰された
▼嘉手納の商店街・新町通りを知ってもらおうと4年前に始まった。通りの飲食店を回ることのできる手づくりイベントは参加を男女各100人と限ったのも幸いしてか「規模がいい」と好評だ。参加者の満足度も高い
▼近隣への大型商業施設の開店や周辺の再開発で、空き店舗が多かった新町通りは今年、約40区画の全店舗が埋まった。店主らによるにぎわい創出の事業に加え、「街コン」効果もあるだろう。青年部メンバーは「イベントを楽しむ人たちを見るとうれしい」と話す
▼地元・嘉手納に多くが集う事業に関わる喜びは、シビックプライドの一端だ。毎年工夫を重ねており、今年は初の昼間開催。地域への誇りが通りの新たな表情を生み出す。その魅力が人を引き付け続ける。