<金口木舌>青い空はつながっている


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 ベトナムで長く歌われてきた日本の反戦歌がある。「青い空は青いままで子どもらに伝えたい」と歌う「青い空は」だ。原爆を投下された広島の体験を後世に伝えたいとの思いが込められている

▼作られたのは1971年。戦争中のベトナムで、人々の心を打った。ベトナム語に訳され、現地の歌手が防空壕の中で録音し、それがベトナム全土で放送された
▼作曲した大西進さん(86)は当時、「ベトナム戦争で使われている枯れ葉剤は、核兵器と同じように無差別に多くの命を奪う」と思った。ベトナムの人々に平和への連帯を求め、歌を通して心がつながった
▼大西さんは沖縄の反戦歌も100曲近く作った。68年、土地闘争に参加する住民の姿に感激した。住民と共に昆布闘争の歌「一坪たりとも渡すまい」の編曲に携わる。「ベトナムの友を撃ちにゆく世界を結ぶこの空を/再びいくさでけがすまい」
▼核兵器から命を守る県民共闘会議は13日の結成総会で、全県的な核撤去運動を促進する方針を決めた。核持ち込みの確認調査や核兵器禁止条約への加盟などを政府や県に求めていく
▼「青い空は」のように国境を超えて人々の心を打つ歌がある。命の尊さへの思いに対する共感である。核を巡る想像力は沖縄でも問われている。世界はつながっている-。思いをはせよう。青い空を見上げる度に。