<金口木舌>先輩後輩の世代間ギャップ


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 中学生の娘は自宅で食事中、スマートフォンを食卓に置き、何かしら触っている。そのたびに取り上げるのだが、何度注意してもきかない

▼食事をしながらのスマホも行儀が悪いが、先輩の説教中に後輩がスマホをいじると、先輩が不愉快になるのも仕方がないだろう。大相撲の日馬富士関も同様の気持ちだったのだろうか。酒席で後輩の貴ノ岩関に暴行をした背景に、話している途中、貴ノ岩関がスマホを触ったことが一因とされる
▼しかしどんな場合でも暴力は許されない。ましてや日頃、相手を倒す格闘技の稽古をしている力士である。一般人よりはるかに腕力があり、ややもするとその腕力は凶器にもなり得る。横綱としての品格も求められる立場だ
▼野球賭博事件があったり、元横綱朝青龍が暴力事件を起こし引退したり、先輩力士らが後輩を暴行死させたりする事件もあった。不祥事続きの角界のイメージ回復には、時間がかかるだろう
▼先輩・後輩の関係は時代と共に変わる。先輩と飲みに行くのも、かつては仕事を覚える手段の一つだった。しかし最近は「仕事を離れた後まで、先輩と飲むのは苦痛」という人もいる
▼「気心の知れた仲間と飲む方がまし」という若者とどう付き合うか。スマホの使い方を含め、世代間のギャップを埋めるには、互いに相手を理解しようという歩み寄りが必要である。