<金口木舌>あなたの離島像は


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 「区民運動会の告知記事を出してもらえないか」との依頼があった。不特定多数に向けるのが告知記事の役割だ。区民向けであれば、掲載の必要はないのではないか、と最初は思った

▼やってきたのは、うるま市浜比嘉島の浜と比嘉の区長さん。告知は区民向けではなかった。「島外の出身者に加え、島に縁のない方に伝えたい」と聞き、こちらが話に引き込まれた
▼浜比嘉大橋の開通から20年。利便性は向上したが、人口減少も続いている。区民が集う運動会の機会に、ゆかりのない人にも足を運んでもらいたいというのが狙い。島の雰囲気を知ってもらえば、移住につながることがあるかもしれないと考えた
▼綱引きなどで飛び入りを受ける予定だったが、縁もゆかりもない人の参加はなかった。ただ「見に来てみた」という人はいたそうだ。比嘉区の新門剛区長は「もちろん今後も呼び掛ける」と手応えを感じた様子だ
▼県の「21世紀ビジョン基本計画」は、離島の不利性克服と発展を課題に掲げる。離島は沖縄観光の大きな魅力だ。多彩な文化が息づく多くの島々とそこに暮らす人たちの存在は私たち県民の誇りでもある
▼浜比嘉島の将来を見据えた取り組みは今後も続く。ただ、島の人だけが向き合うべき問題ではない。県民一人一人の心のキャンバスに島々の未来を描くことが、島の将来を彩る一歩となる。