<金口木舌>男女格差解消は男性の行動


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 最近、心弾む出来事があった。小学生の娘に手作り料理をせがまれたのだ。その料理とは、自ら命名した「パパカルパッチョ」。スーパーで安売りしている魚の切れ端を材料に、独自の味付けを施す

▼11年ほど前、育休を1カ月間取った時に幾つか料理を覚えた。娘が好んで食べるおかげで作るのが楽しい。育休の貴重な体験を生かせた
▼この国では育児に積極的な男性を「イクメン」と称賛する。この言葉が死語になった社会が理想だが、その日はまだ遠い。おかげで、女性の社会進出が進まない。世界経済フォーラムが発表した2017年度版の男女格差で、日本は144カ国中114位へ後退した
▼女性管理職の割合が4割近いスウェーデンでは、男性の育休取得率は9割に上る。父母双方に育休を割り当て、平等な取得を促しているからだ。一方の日本男性はわずか3%。女性の社会進出の足かせになっている
▼乳幼児を育てる母親だけを対象に「仕事と家庭の両立」を支援する施策は「女性活躍」どころか、性別役割分業を促しかねない問題をはらんでいる。女性に育児や介護などの無償労働を押し付けたまま、雇用労働者として利用する発想は筋違いだ
▼きょうは「勤労感謝の日」。家事や育児などの無償労働への「感謝」も大切だが、男性もその担い手になる自覚と行動を喚起する機会にしよう。