<金口木舌>大衆スポーツの裏側


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 全国一を決める試合を取材した記者から報告があった。「レクリエーション性が強いと思っていたが、全く違う」。選手の噴き出す汗や張りつめた雰囲気など、競技の魅力に興奮していた

▼愛媛国体のボウリングの話である。ボールの滑り方などレーンは、オイルの種類や時間の経過で変化し選手を悩ませる。技術力だけでなく、一投一投への集中力は、取材した記者の意識を一変させた
▼国体監督の下地良信県ボウリング連盟常任理事に聞くと、繊細さを競技の特徴の一つに挙げる。ボウリングの魅力は「目に見えないレーン環境を読む力に、個性が出ること」だという
▼米国など海外では、1900年以前から大衆スポーツとして認識されていた。日本では前回東京五輪の直前、63年に初めて全日本選手権が開催された
▼国体では比較的新しい競技だ。87年の海邦国体で公開となり、翌88年に成年が正式採用され、89年に少年の部が加わった。沖縄は10万人当たりのボウリング場数が全国トップクラス。ボウリングになじみ深いことが、県勢の強さにも表れている
▼愛媛国体で安里秀策選手が男子個人を制し、プロ、アマが集うジャパンオープンでは初優勝し、日本一の称号を手にした。24日に米国で開幕する世界選手権には、安里選手と幸喜将太選手の県勢2人が出場する。世界での躍動によって次代のボウラーも育っていく。