<金口木舌>若者への寄り添い方


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 多くの相手と瞬時に情報をやりとりできる無料通信アプリLINE(ライン)は大変便利だ。電話で会合の日時などを一人一人に連絡していたころに比べると、格段に楽になった

▼子どもや若者にとっても、ラインは必須のツールだ。長野県と滋賀県大津市は今年、ラインでいじめの相談を受け付ける取り組みを試験的に導入した。長野県では2週間で、昨年度1年間の約6倍の相談が寄せられた
▼総務省の2016年調査によると、10代は平日1日でソーシャルメディアを58・9分利用している。携帯電話の通話は2・7分。ラインの相談窓口は、若者にとってより身近で敷居が低いのだろう
▼一方、文部科学省の16年度調査で、いじめのうちラインなど会員制交流サイト(SNS)などでの嫌がらせの認知件数が1万件を超えた。大人の目に触れにくい形でいじめが進行していることも想像に難くない
▼県内では今年、中学生の暴行動画がインターネットで拡散される事件も起きた。通信手段の発達により、子どもたちを取り巻く環境は、ここ数年でも激変している。大人はまず、そこを理解しなくてはならない
▼SNSは弊害もあるが、子どもたちに寄り添うための有効なツールにもなりうる。子どもや若者を孤独から救い、大切な命を守ることにつながるのであれば、活用について考えてみる価値はある。