<金口木舌>伝統踏まえた採点方式に


この記事を書いた人 琉球新報社

 空手の国際大会で、男子形の喜友名諒選手(劉衛流龍鳳会)がまた頂点に立った。那覇市で開かれた空手1シリーズAの個人戦と団体戦。鋭い眼光で繰り出す演武は、鬼気迫る

▼2020年に開かれる東京五輪の種目に空手が採用され、県勢によるメダル獲得への期待が高まっている。特に喜友名選手ら男子形は世界トップレベルにある
▼一つ気になるのが、形の勝敗の決め方が変わるかもしれないことだ。現在は5人の審判員の上げた旗が多い方を勝者とするフラッグ方式。東京五輪では、審判員が付けた得点の合計で勝者を決める採点方式が検討されている
▼「勝敗をより分かりやすくするため」というのが変更の理由だ。柔道では、選手の区別がしやすいとして1998年の国際大会から青のカラー柔道着が導入された。全日本柔道連盟は「柔道の心は白」と最後まで反対した
▼ルールの変更で日本選手に不利になった競技もある。スキーのジャンプだ。98年の長野五輪後、スキー板の長さが背の高い欧州勢に有利なルールとなった。長野で金二つを獲得した船木和喜選手は、2002年のソルトレークシティーでメダルなしに終わった
▼空手の形で、どのような採点方式となるのかまだ分からない。だが、発祥の地である沖縄の伝統を踏まえて検討すべきだろう。誰もが納得する五輪大会にするために。