<金口木舌>名前のない家事


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 夫「燃えるごみの日だね。僕がごみを出すよ」。妻「ありがとう」。夫「で、ごみは?」。妻「え?」-。テレビの情報番組での会話を見て、「あるある」とひざを打った

▼ごみ収集日に家中のごみをまとめる。トイレットペーパーを交換する。麦茶の補充、調味料や消耗品の在庫管理…。暮らしの中で必要なのに、あまり認識されていない仕事を「名前のない家事」と名付け、特集していた
▼作業はたいてい気づいた人が行うことになるが、主婦や主夫の仕事になりがちだ。地味なため、処理したことに気づかれず、感謝すらされない。担わない人の認識では、トイレットペーパーは自動的に補充されている
▼ただ、作業を家族にお願いするのもひと苦労だ。方法を説明するのがおっくうで、結局自分でこなしていらいらすることも。番組では、家族で仕事をシェアする「仕組みづくり」を紹介していた
▼ごみをまとめて出し、ごみ箱に新しい袋をセットするまでを一つの作業として共有する。消耗品の在庫管理で「この箱の中のものを使い切ったら買い足す」など、みんなに分かりやすい決まりをつくる
▼頻度を減らす、やめるという選択肢もある。家事に限らず、仕事にも応用できそうだ。もちろん、地味だが必要で面倒な「名前のない仕事」を誰かが担っていることに、気付くアンテナを磨くことも大切だ。