<金口木舌>国語力アップに向けて


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 中高校生を対象にした塾の講師をしている友人との雑談で、子どもたちの国語力が低下しているという話題になった。言葉の意味を知らなかったり、論理的な思考が足らず、文章が深まらなかったりするという

▼若者の間では、メールやラインで「り」の1文字は「了解」を意味する。SNS(会員制交流サイト)の広がりで、文章を書くことに抵抗がない若者が増えている一方で、ネット限定の言葉は進化し、テストに必要な国語力は低迷というのが現状か
▼2020年に大学入試は大きく変わる。選択問題だけでなく、記述式が新たに加わる。文部科学省によると、公文書や統計資料などを読み、自分の考えを文章でまとめる問題などを想定している
▼「知識偏重」から「思考力重視」へと変わる中、子どもたちの国語力は大丈夫だろうか。大学入試を前提とせずとも、社会人になって報告書やプレゼン資料などをまとめる際は、国語力が重要になる
▼書店には、メールの書き方や「書く技術」といったハウツー本が並ぶ。大人になっても、国語力のニーズは高い。その向上にうってつけなのは、手前みそだが新聞である
▼ちなみに文科省が公表した3年後の新たな大学入試の問題例は、駐車場の契約書などが題材だった。実務的な文章を踏まえ、論理的な読解力が試される。教える側の教師の力量も求められている。