<金口木舌>夢与える県選手活躍


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 久しぶりにわくわくする試合だった。先月開かれたアジアプロ野球チャンピオンシップ。開幕戦に県出身の又吉克樹、山川穂高、多和田真三郎の3選手が日本代表として出場した

▼又吉がドラフト2位で指名された4年前、香川県まで取材に行った。四国独立リーグのチームに所属していた又吉。雑草の生える、おせじにも良いとは言えないコンディションの球場で、ボールを黙々と投げていた
▼西原高校時代は全くの無名。「控えの控え」だった。当時は最速117キロ。大学で144キロに球速を伸ばしたが、プロや社会人チームから声が掛かることはなかった。教員免許を取り、2年と自ら期限を切って独立リーグ入りした。「野球にけじめをつけるため」だった
▼プロ入りを決め、取材にこう答えた。「名前も分からないようなやつが頑張ってやっと芽を出した。ここで満足せず、もっと大きく成長する雑草になりたい」
▼4年目の今季、チーム最多の8勝を挙げた。初完封もあった。オールスターに初めて選出され、日本代表として国際大会のマウンドを預かるまでになった。テレビを見ながら感慨深かった
▼代表の4番に座り、開幕戦2ランの山川は、ドラフトの同期。今季は不振で2軍落ちもあった。努力があったからこそ、今の姿がある。又吉ら県選手の活躍は、夢と明日へ頑張る力を県民に与えてくれる。