<金口木舌>沖縄から非核アピールを


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 その言葉は世界中の多くの人の胸に響いただろう。「核兵器は必要悪でなく絶対悪だ」。広島と長崎の魂を感じてほしいとの思いが込められた

▼核兵器禁止条約の国連採択に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)へのノーベル平和賞の授賞式。広島で被爆したサーロー節子さんは条約を「核兵器の終わりの始まりにしよう」と呼び掛けた
▼唯一の被爆国日本は米国の核の傘下にあることを重視し、条約に反対した。核実験を繰り返す北朝鮮を念頭に、日本政府は迎撃ミサイルの設計費を計上する。来年度の防衛費は過去最大の約5兆2千億円に上る見通しだ
▼大勢が不安に陥る中、この人たちは笑っているに違いない。戦争で利益を得る軍需産業関係者、いわゆる「武器商人」と呼ばれる人たちである。世界の軍需産業は近年、急成長の一途だ
▼トランプ米大統領は先の訪日の際に武器セールスを展開、安倍晋三首相は購入を約束した。両首脳の妻は東京都内の小学校を訪れ「平和」と書いて見せた。ある新聞に載った川柳はこう描く。「妻たちに『平和』と書かせ武器売買」
▼日本の武器購入は国内政策に行き詰まるトランプ氏の思うつぼだろう。長期的に見て軍拡は緊張を一層高める要因になる。世界は今こそ、節子さんの言葉に応える時である。核持ち込みに懸念のある沖縄から非核をもっとアピールしていい。