<金口木舌>沖縄版「今年の漢字」


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 今年一年の世相を一文字で表現する「今年の漢字」は「北」が決まった。日本漢字能力検定協会の全国公募で、応募数15万3594票のうち「北」が7104票を集め、1位になった

▼北朝鮮ミサイルの北海道沖落下、九州北部豪雨などの災害から平和と安全の尊さを国民が実感した。スポーツ界では大谷翔平選手ら北海道日本ハムファイターズに注目が集まった
▼日本の南に位置する沖縄の一年を一文字で回想するならばどうなるだろうか。自然と「落」が頭に浮かぶ。字面からしても縁起の良い感じはしないが、多くの県民が実感しているだろう
▼1年前のオスプレイに続き、今年も米軍機墜落を幾度も耳にした。保育所や小学校への部品落下が年の瀬を迎えた沖縄を震撼(しんかん)させた。平均寿命の順位下落も残念だ。長寿ブランドはかすんでしまった
▼いずれの「落」も県民の命に関わる。米軍機墜落、部品落下がやまぬなら、飛行をやめるか、少なくとも飛行経路を改めるべきだ。抜本策は飛行場閉鎖だ。それは日米両政府の決断にかかっている。他方、長寿沖縄の復活はひとえに県民の自覚しだいだ
▼暴飲暴食をやめ、運動にも努めたい。生活習慣病の要因を取り除くことができれば、平均寿命の順位は上昇に転じる。努力を求められているのは働き盛り世代。来年からとは言わず今日から始めよう、ご同輩。