<金口木舌>「#Me Too」


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 米国の雑誌「タイム」は、毎年恒例の「今年の人」にセクハラ被害を証言した「沈黙を破った人たち」を選んだ。過去に被害を受けた人たちも「#Me Too(私も)」と、ツイッターで声を上げる動きが各国に広がっている

▼米国では政治家やニュースキャスター、俳優らが告発を受けて辞任に追い込まれている。1960年代から80年代にかけてのセクハラを問われた著名な音楽監督は、停職処分となった
▼約50年前のことを、被害者は忘れていない。ずっと引きずっていた。「昔のことだから」と口を閉ざすのではなく、声を上げて告発する。またそれを受け止める土壌が米国にはある
▼ちなみに、この音楽監督にセクハラを受けたと告発したのは3人の男性だった。被害者は必ずしも女性とは限らない。「#Me Too」では男性も声を上げ始めている
▼セクハラ、パワハラ、DV(家庭内暴力)は加害者の支配欲や権力の誇示に要因がある。加害者側に権力があり、被害者と不均衡な力関係だ。多少なりとも地位があり、権力を持つ人は、自分の立場を利用した振る舞いをしていないか、いま一度考える必要がある
▼「かわいいね」と褒めただけで、相手が不快と感じれば、セクハラで訴えられる米国。日本以上にセクハラな言動に注意を払う人は多い。その米国でさえ、今回のツイッターの広がりである。問題は根深い。