<金口木舌>泣き虫だった賞金王


この記事を書いた人 琉球新報社

 スポーツで今年、県民を感動させた一人がプロゴルフの宮里優作選手だ。日本シリーズ最終戦。逆転で賞金王をつかみ、頬をぬらした。出身地の東村では「特別な勝利だ」と喜ぶ声が広がった

▼「負けず嫌いだった」。幼い頃を知る人は口をそろえる。大人とホールを回った小学生の時、勝てずに涙を流した。「ホールインワンしたのに負けたことがあった。よほど悔しかったのだろう」と一緒にプレーした地元男性
▼同じ少年野球チームにいた先輩は「おとなしく優しいが、負けず嫌い。泣き虫でもあった」と当時を振り返った。「負けたら悔しくて泣く。三振して泣くこともあった」
▼「真面目で一本気」という人柄でも一致している。2002年末にプロ転向したが、なかなか勝てなかった。自分を追い込むような真面目すぎる性格がマイナスになることがあった
▼それでも13年の初勝利後は、順調に優勝を重ねた。「子どもの頃の涙は、今の涙の裏返し」。幼い頃の優作選手とゴルフをした男性は言う。勝負に人一倍こだわる気性は、現在の活躍につながっている
▼同世代の区長は「頑張れば夢はかなうと見せてくれている。子どもたちのヒーローだ」と語る。負けん気が強く泣き虫だった優作少年。その成長した姿に夢を重ねるのは子どもたちだけではない。来年も活躍をと多くの県民が期待している。