<金口木舌>松の内と七草


この記事を書いた人 琉球新報社

 車の前部に飾る「しめ縄」を今年の正月、1台だけ見掛けた。以前はどの車もしめ縄を付けていたように思うが、最近すっかり見なくなった

▼自宅の玄関にしめ縄をする家も、年々少なくなってきているように思う。ましてや門松である。しめ縄や門松など、正月の飾り物は「松の内」までとされる。松の内とは地域にもよるが、今日7日が一般的だ
▼今年の年賀状は、7日までは52円で差し出しできるが、8日以降は10円分の切手を上乗せしなければならない。この7日の設定も「松の内」に起因している。新年のあいさつは「松の内」をすぎると「寒中見舞い」となる
▼この時期、チラシやテレビCMで見掛けるのが、ペン習字や書写講座の受講生募集だ。他人の年賀状を見て、自分の悪筆をどうにかしたいと思っている人には、新年の決意として「やってみよう」という人もいるのでは
▼パソコンの普及で手書きの年賀状が減った。メールで済ませる人も増えている。そもそも過度な個人情報保護で、送りたい人の住所すら入手しづらいご時世である。時代とともに人の意識や習慣は移り変わる
▼ところで今日7日は「七草」。7種の野草入りおかゆを食べ、無病息災を祈る。「七草セット」が店頭に並び、県内でも定着しつつある。一部の食習慣が本土化する中、滋味深いフーチバージューシーが恋しい。