<金口木舌>感謝の光文字


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 名護市の市街地を見下ろす山の斜面。電球で巨大な一つの文字を作る「光文字」が7日ともされた。今年の文字は「親」。学校の先生や地域の人を含め、自分を育ててくれた人たちへの感謝を込めた

▼光文字は市内の新成人が毎年設置、年明けの風物詩となってきた。2015年で終了予定だったが、東江中出身者が中心となり続けてきた。地域の協力はあるが、あくまで主役は新成人。資金づくりや必要な申請など自分たちでやらねばならない
▼寄付を呼び掛け、市内を回る中で「毎年楽しみにしている」「今年は何の文字をやるの」と期待する人の多さを感じたという。光文字を続けたいと説明すると「ありがとう」と礼を言う人もいた
▼「最初は伝統とか、自分たちの誇りのためにとか考えていた」。リーダーの一人は言う。「多くの人と会ううち、意識が変わった。皆のために名護を明るく照らしたいと思うようになった」
▼取り組みは、新成人が一歩成長する機会にもなっているようだ。設置場所の銭ケ森は神聖な山とされる。現場に入る前に一礼したり、ごみを残さないようにしたりと気を配る
▼きょうは「成人の日」。新たに大人の仲間入りした若者たちは、この日の気持ちを忘れず、今度は自身が「感謝」を受けるような出会いをつくってもらいたい。成人の先輩たちは、その手本となる自覚を忘れずに。