<金口木舌>SNSと自己承認欲求


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 おしゃれなカフェやスイーツなどの写真を会員制交流サイト(SNS)に投稿する「インスタグラム」は、「インスタ映え」という言葉を生み出すほど、若者に定着している。一方、それは「自己承認欲求」の高まりに拍車を掛けていないか

▼「よりいい写真を撮って認められたい」という欲求は、フェイスブックの「いいね!」や、ツイッターのフォロワーの数を気にするのにも通底する。スマホの普及で自己承認が、ネット上で可視化されるようになった
▼本紙社会面の連載「彷徨(さまよ)う」では、SNSでつながる10代の若者らが登場する。自分の位置情報までスマホのアプリで仲間と共有する様子から「私はここにいるよ」と承認を求めているように感じる
▼承認欲求が度を超えると、飲食店の店員が食品の上に横たわった写真を投稿するなど非常識な行動につながる。悪ふざけが店舗の閉鎖、損害賠償請求となる事例もある
▼そんなに人は他者に認められたいのか。心理学者のアルフレッド・アドラーは他者から承認を求めることを否定する。アドラー心理学の本「嫌われる勇気」によると「他者がどのような評価を下すかは他者の課題で、自分ではどうにもできない」と指摘する
▼SNS上だけでなく、現実社会でも同様だ。自分がどう在りたいか、自分が信じる最善の道を選べば「自己承認欲求」から解放される。