<金口木舌>なげていないのに四球


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 野球で投手が打者との勝負を避けようと、わざと四球を与えるのが「敬遠」。表面では敬う態度を取りつつ、実際は避けるようにすることがそもそもの語義だ。普段と変わらずに放るわけで、うまい表現だ

▼これが大きく変わる。敬遠の意思を審判に伝えると投球せずに四球になる「申告敬遠」がプロ野球で今季にも始まる。米大リーグが昨季に導入しており、国際標準に合わせた
▼敬遠は暴投などバッテリーエラーを誘うことがある。敬遠の球を適時打にした阪神時代の新庄剛志選手らのプレーが語り草になっている。申告制導入でファンには「1球ごとのドラマがなくなる」と残念がる声がある
▼意外だったのはプロ野球選手に強い反対の声がないこと。投手にとっては投球数が減ることにつながると評価する向きもある。高校野球では今季の導入は見送る
▼一方、春の選抜大会以降、タイブレークが導入されるなど、高校野球も変革の年。選手の負担軽減が大きな目的だ。ダルビッシュ有投手が朝日新聞で日本の球児に「頑張りすぎるな」とメッセージを送り、反響を呼んだ
▼県内では恒例の部対抗競技大会が開催され、球児が夏に向けて雌伏の時を過ごす。ファンとしては選手の目線を大切にルール変更の影響を見守りたい。タイブレークはもちろんのこと、そこに至る攻防にまた新たなドラマが生まれるはずだ。