<金口木舌>男と女、どっちが得か


この記事を書いた人 琉球新報社

 「男と女、どっちが得か」。本紙オピニオン面で、金武中2年の女子生徒が「男の方が得だと思う」と投稿している。理由は「(女は)料理ができないとだめで、お母さんの手伝いをしないとおこられます」と記す

▼当方も中学生の頃、全く同じことを考えていた。約30年前の自分を思い出し、笑ってしまった。しかし裏を返せば、当時と今の社会風潮が変わっていないとも言える
▼社会人になって「男の方が得」と思うことは多い。仕事が楽しくなりキャリアを築く時期に、女性は出産・育児で退社もしくは育休を取得せざるを得ない。出産後も女性の方が育児・家事を担う風潮は根強い
▼最近は男性の育休取得が奨励され、家事をいとわない男性もいるがまだ少数派だ。中には家事・育児に専念したい女性もいるだろう。そう考える男性もいるはずだ。誰もが自由に生き方を選択できているだろうか
▼結婚せずとも、男女間には賃金格差がある。2016年の国税庁の民間給与実態統計調査によると、男性の年平均給与は521万円に対し、女性は280万円と男性の53・7%しかない
▼そもそも性別で損得を考えるのはナンセンスかもしれない。でも女子生徒の素朴な思いは共感できる。投稿した女子生徒が大人になる頃、男女どちらにとっても暮らしやすい社会になるかどうかは、私たちの生き方や価値観にかかっている。