<金口木舌>マンホールに地域愛


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 旅先でマンホールのふたをよく写真に収める。その土地の風景や動植物、伝統の祭りなどが刻まれ、地域色豊かで面白い。そんなデザインマンホールが、ここ数年注目されている

▼全国の先駆けとなったのが那覇市だと最近知った。1977年、市章の周囲に魚をデザインした。「汚れた水を下水道施設により浄化し、魚がすめる環境に戻していく」という意味を込めた
▼県内でも各市町村が趣向を凝らしている。沖縄市は大太鼓を持つキャラクターで「エイサーのまち」をアピール、人と馬との絆を描いた「赤馬伝説」を刻む石垣市、妖精「ぶながや」を描いた大宜味村など、どれも興味深い
▼全国の図柄を紹介するマンホールカードが人気だという。下水道への理解を深めることを目的に、国土交通省の関連団体が発行している。県内では県、中城村に次いで名護市が昨年12月に配布を始めた
▼問題なのは、無料配布のカードがネットオークションなどで売買されていることだ。配布場所に足を運んだ人に1人1枚手渡すという原則がある。収集の難しさから一部収集家の間でブームが過熱している
▼「足元の芸術」とも言われるデザインマンホール。カードは、地域の文化や歴史に触れることも期待し発行されている。ぜひ自分で足を運び、その土地の自慢を確かめてほしい。あふれる地域愛があなたを待っている。