<金口木舌>競技者が主人公


この記事を書いた人 琉球新報社

 平昌冬季五輪は連日、日本人選手のメダル獲得に沸いている。世界最高峰の技や速さの競い合いは見る者に多くの感動を与える。その一方で、大会運営には少なからず疑問がある

▼ジャンプやスピードスケートなどは夜遅くに競技が始まる。選手や観客のことを考えているのだろうか。悪天候で何度も中断したこともあって、ジャンプ男子ノーマルヒルが終わったのは日付が変わった午前0時19分だった
▼寒さも影響したのだろう。テレビに映る会場は寂しかった。表彰式の頃には観客はほとんどいなかった。マイナス10度の環境は選手らにも不評だ。葛西紀明選手は「気持ちがひるむぐらい」と苦々しい表情で振り返った
▼競技開始時間は「欧州でテレビ観戦しやすい時間帯に設定した」とは国際スキー連盟関係者の弁。世界一を決める祭典の放送は重要だが、それでも「アスリートファースト」が基本である
▼元ラグビー日本代表の平尾剛さんが「反東京五輪宣言」と題したコラムで五輪を返上すべきだと訴える。五輪は「巨大公共事業の口実となり、国民の税金を堂々と私物化するための体のよい名目だ」とも批判する
▼選手らにとって五輪は4年に1度の晴れ舞台。世界一を競い合う選手のスポーツへのひたむきに取り組む姿勢は子どもたちの手本にもなる。「競技者が主人公」。その当たり前のことを忘れてはならない。