<金口木舌>桜が結ぶ二つの縁


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 色鮮やかなピンクの花が特徴的なヒカンザクラ。そろそろ季節も終盤だが、若葉と折り重なる花も趣がある。この春先、その桜が取り持つ縁が、やんばると二つの地域を結び付けた

▼北海道東部の釧路町がその一つ。「日本一遅い桜」の名所として知られる同町。「日本一早い桜」をPRする今帰仁村で、観光協会同士が姉妹交流協定を結んだ
▼釧路町の桜まつりは5月下旬。今帰仁村の4カ月後に遅い春を迎える。釧路町は長靴を履いてプレーする長靴アイスホッケー発祥の地。今帰仁村もホッケーが盛んで、両町村は「意外な共通点が多い」と強調する
▼桜が結び付ける、もう一つの地域がハワイだ。沖縄美ら島財団は、沖縄の桜をハワイで咲かせようと、ヒカンザクラから採取した芽の組織培養に取り組んでいる。ハワイの関係者が今月、本部町の財団施設を視察し、計画に期待を寄せた
▼米首都ワシントンに東京が桜の苗木を贈ってから2012年で100年。これを記念し、日本は米国主要地域に桜の名所をつくる計画を進めている。財団は計画に協力し、ハワイ同様に温暖な気候の沖縄から、無菌状態で桜を送ることにしている
▼ハワイは県系人が多い場所。桜がさらに結び付きを強めるものになればと関係者は期待する。日本の北と南。太平洋を挟んだ東と西。桜が懸け橋となり、新たな絆が生まれつつある。