<金口木舌>社会の「強度」


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 カーリング日本代表の本橋麻里主将は控えで若い選手を支え「精神的支柱」と評された。「そだねー」の相づちなどメンバーの明るさが「潤滑油」となっているチームだった

▼組織内の人間関係や役割が建築物や機械の構造に例えられることがある。人のつながりを「鉄筋」、その強固さを「耐震強度に優れている」と表現するのは沖縄市の喜友名朝彦さん(44)だ
▼民生委員の研修大会で活動報告に立った。委員になって約1年。生活困窮世帯や高齢者の独居への対応などで一人で悩んだ際、周囲に相談することで不安が解消できたと報告した。先輩の委員、役所や社協など関係機関のつながりを「鉄筋」に例えた
▼本業は建築コンサルタントだというから、なるほどの例えだ。沖縄市民生委員児童委員協議会(市民児協)は若い委員を増やそうと、積極的な声掛けで30~40代の委員を誕生させている
▼困っている人を笑顔にすることができる役割に興味を持つ人も増えている。ただ、完全無報酬でもあり、まだなり手不足。市民児協の石原イカリ事務局長は「地域福祉の最先端にいる民生委員についてまずは知ってもらいたい。地域を考えることにつながるはずだ」と話す
▼喜友名さんは社会福祉を「大きな器」とも表現した。一人一人が地域や福祉についてどう考えるか、器の強度は私たちの関心の向け方とも比例している。