<金口木舌>選手育成への思い


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 「好きなことを追い掛けられる環境をつくってあげたい」。日本女子プロ野球選手県勢第1号の新原千恵さん(31)の現在の目標だ。競技普及活動の一環で先日、沖縄を訪れた際に選手育成への思いを聞いた

▼新原さんは小学3年で野球を始めた。中学入学当初は野球を離れたが、諦め切れず、打ち込みやすい環境を求め2年で転校し、再び白球を追った。高校は名門の鹿児島・神村学園へ進み、2年連続全国一に輝いた
▼2010年のリーグ発足と同時にプロ入りした。1年目から最多犠打のタイトルを取るなど活躍。4年の現役生活の後は京都フローラの監督も務め、今は京都のヘッドコーチとして後進を指導する
▼02年3月14日付本紙で、高校進学を控え「女子野球をアピールしたい」「日本代表で活躍したい」と夢に燃える新原さんの決意を紹介している。目標に向かって歩み続けて今がある
▼プレーでの魅力発信だけでなく、野球教室など地道な取り組みが女子野球の裾野を広げたことを数字が示す。リーグ発足から8年で女子硬式野球人口は3倍となり、高校の女子野球部は当初の全国5校から徐々に増え、18年度は30校を超す勢い
▼「こうありたい」と願い行動する力は、個と個をつないでいく。国際大会で他を圧倒するほど実力を付けた日本女子野球。熱意の輪の一つ一つが可能性を広げていく。