<金口木舌>美肌と詐欺手口の巧妙化


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 パスポートの更新のため、証明写真を撮った。証明写真機の機能が進化しているのに驚いた。美肌モードは当たり前、目をきりっと修正でき、肌の濃淡まで選べる

▼気になるしみもないことにでき、実年齢よりマイナス3歳は若い仕上がりになった。しかしこれは10年間有効のパスポート。今後、出入国審査の際に“詐欺”と思われないか、こちらが心配になった
▼詐欺と言えば「おれおれ詐欺」もさることながら、電子マネーの利用権をコンビニで支払わせる架空請求詐欺が横行している。被害者は高齢者だけでなく20代や30代にも広がっている
▼「有料サイトの未納料金があります」と、動画閲覧など誰もが心当たりがある点を指摘し「法的措置」の文言で不安をあおる。「未納料金」というあたかも自分に落ち度があるかのように迫られると動揺する
▼落ち度と言えば、性暴力被害者も相手に誤解を与える服装や言動ではなかったかと、被害者の落ち度を問う人もいる。誹謗(ひぼう)中傷を恐れ、そのまま泣き寝入りしてしまう人も少なくない
▼共通しているのは、加害者は全て計算した上でだましにかかっていることだ。詐欺を未然に防ぐには、まず無視すること。金銭の要求に応じないこと。話術にだまされず、誰かに相談すること。電子機器の進化は、写真機能の充実だけでなく詐欺手口の巧妙化にも利用されている。