<金口木舌>「もったいない」を大切に


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 3月は卒業の季節。思い出が詰まった制服を「まだ着られるのに」と思いながら、処分する人も多いだろう。誰かにあげることができれば、と考えることがあるかもしれない

▼そんな不要になった制服を必要な人に譲る取り組みが名護市で続いている。きっかけは、ごみ収集の作業員に生徒の保護者から寄せられたひと言。まだ着られる制服を捨てるのは「もったいない」との声だった
▼取り組みの拠点は、ごみ収集を行う企業でつくる団体が市の委託で運営する施設。ごみ減量化などを目指し、2011年に設置された。不要になった制服や式服を市内の学校に呼び掛けて集めている
▼セーラー服や学生服など、制服はどれも500円で販売している。急きょ転校が決まったなどの理由で、一度も着ていない服が持ち込まれることもある。売り上げは制服を提供した学校に全額寄付している
▼最近、東京銀座の公立小学校が物議を醸した。実質的な制服に当たる「標準服」に、高級ブランドが監修したデザインを採用し、一式8万円を超す額だったからだ。「公立で、なぜそんな高価な服を?」と、疑問の声が上がった
▼「ごみとして捨てずに再利用すれば、資源が共有され、また大事にされる」。制服の再利用に取り組む担当者は強調する。その制服には、高価でなくとも、学ぶべき大切な考えが込められている。