<金口木舌>「スマホと天ぷら」変わるもの・変わらないもの


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 半年ほど放置していたスマホの画面を修理に持って行くことにした。ひびが広がり、無残な姿。データが消えないか怖くなった

▼検索アプリで見つけたスマホ修理店は次から次へと客足が絶えない。どのくらいかかるかと心配したが、約30分で修理完了。あっという間に新品のようになった姿にほっとし、「ありがとう」と伝えると、若い店員は笑顔になった
▼急速な技術革新で「新しい仕事」が生まれ、街並みやライフスタイルが変わったと痛感する。昔は修理屋といえば時計や家電製品だったが、今はスマホやパソコン。電話帳は見掛けなくなり、ネット検索が当たり前の時代だ。スマホが手放せなくなったが、消えていくものに寂しさも感じる
▼一方で、伝統に新しい風を送る若い経営者もいる。「上間弁当天ぷら店」を展開する上間フードアンドライフ(沖縄市)の上間喜壽社長だ。店のルーツは祖父母がゴヤ市場で始めた刺身屋。両親から24歳の時に店を継いだ理由は「つぶれそうだったから」
▼会計システム開発やロゴ作成のPR強化で立て直し、天ぷらや伝統行事の重箱、餅などもスマホで注文できる。上間さんの経営理念は沖縄の生活や文化を守り「未来のうちなーんちゅに引き継ぐこと」という
▼今日は語呂合わせで「サンキューの日」。変化の中でも、大事な心を受け継ぎ、感謝される仕事が広がる未来に願いを込めて。