<金口木舌>心打つ情熱の舞台


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 冬季五輪の興奮さめやらぬ韓国平昌で、パラリンピックが開幕した。障がいのある選手たちが世界から集い、限界に挑む。2020年夏季大会は東京だ

▼その東京大会に関し、障がい者約500人に実施したアンケートが気になった。大会をきっかけに障がいへの理解が進むか聞くと、「理解が進まない」「出場対象の障がい以外は理解が進まない」との回答が計87%に上った
▼「出場選手のようなレベルになれないのは、本人の努力が足りないだけと思われそう」「精神障がい者、発達障がい者は『蚊帳の外』」。自由記述では、数字の裏にある複雑な心境がうかがえる
▼一方で、大会への関心の高さも示された。アスリートたちの情熱は人々の心を打つ。「多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会が与えられている」。日本パラリンピック委員会は、大会をそう意義付ける
▼16年夏季大会では、県出身の仲里進さんが、車いすラグビーで銅メダルを獲得した。「障がいを持って生まれてきて良かったと言いたい」。困難を乗り越え、メダルを手にした仲里さんの姿は、県民に感動を与えた
▼障がい者への理解が一気に進むことは、難しいかもしれない。だが、その活躍や努力に触れることは、社会の垣根を低くする助けになるはずだ。平昌で18日まで続く熱戦を応援しよう。