<金口木舌>「なぜ」を問うことから


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 空港の手荷物受取所にて。多くの人が首を長くして荷物を待つ回転台のそばに、かわいらしい兄弟を見つけた

▼5歳と3歳くらいだろうか。回転ずしのように、色とりどりのスーツケースが回る様子が楽しいのか、回転台のそばを離れない。機械の中をのぞき込もうとしたので、慌てて「危ないよ。指を挟んでけがするかもしれない」と声を掛けた
▼すると、どこからともなく現れた母親が「ほら、ダメでしょ」と子どもたちの手を引っ張って消えた。2人のキラキラした表情を思い出し、「なぜ」ダメなのか話してくれたかなぁと、もやもやした気持ちが残った
▼好奇心は成長の原動力だ。子どもも大人も「なぜ」から学びが生まれる。正解、不正解だけを覚えさせる教育では考える力や身を守る力、問題解決能力は身に付かない。社会に出れば、簡単には答えの出ない問題ばかりだ
▼2020年からの教育改革は知識に加え、「思考力、判断力、表現力」「主体性、協調性」も問われ、大学入試も変わる。機械化、情報化で激変する未来で、生きる力を身に付けるのが目標という
▼「なぜ」を考え、判断し、多様な人と協力しながら課題解決を目指す。これって今も必要な力ではないか。「上司に言われた通り」「総理の意向を忖度(そんたく)した」がまかり通る社会を変えるのは、あなたの身近な「なぜ」から始まるかもしれない。