<金口木舌>働き方改革


社会
この記事を書いた人 琉球新報社

 新年度で街にあふれたリクルートスーツ姿も大型連休が過ぎ落ち着いてきた。毎年この時期になると新人時代を思い出す。覚えたての仕事に悪戦苦闘し、時間も気にせず夜遅くまで原稿を書いた

▼働く時間に上限があるとは社会人になるまで知らなかった。1週間40時間、1日8時間。労働基準法32条は労働時間の上限を定めるが、36条は労使協定を結べば時間外労働、いわゆる残業を認めている
▼長時間労働の抑制は古くて新しい問題。最近は大手企業で過労死や自殺が相次ぎ、再び注目されている。産業界も動きだし、家庭と仕事の両立支援など独自の取り組みに乗り出す企業も。東京・銀座の商業施設でも終業を早める店が出ている
▼政府は、労基法における「歴史的な改革」として、長時間労働是正などを盛り込んだ働き方改革法案の今国会での成立を目指す。ただ一部専門職で盛り込まれた労働時間の規制撤廃が、働かせ放題になると反対の声も根強い
▼一方、欠席していた国会に8日から復帰した野党が労働時間の規制撤廃を削除した対案を提出した。これから本格化する国会論議は誰の立場に立って進んでいくのか
▼新社会人になった時、緊張しながらもわくわくした気持ちで仕事に臨んだ。そんな思いを持続しつつ、いい仕事ができる環境をどうつくるのか。“リクルートスーツ”も注目している。