<金口木舌>同士への敬意あってこそ


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 守(しゅ)破(は)離(り)とは、修行の段階を表す言葉で茶道や剣道に伝わる。曰(いわ)く、教えを守り基本を身に付けることに始まり、その殻を破って個性を発揮するに至る

▼いずれは形から離れ、独自の境地に達する。子弟関係の段階を表しもする。凝り固まった関係に固執すれば、極みに達することはできない。至道の厳しさを感じさせる
▼言われるまま行動しただけなのか。勝ちさえすれば、何をしてもいいということか。指導者、選手、それぞれの在り方を考えさせられるアメリカンフットボールのラフプレー問題だ
▼指示があったとの証言について、当の監督は学内調査で否定した。はっきりしているのは非常に悪質な行為だったということだ。「アメフトは危険」との見方が広がったとしたら残念だ
▼ラグビーなど激しいコンタクトを伴う競技は、選手不足に悩まされている。知識と鍛錬でけがは防げることを、球技の魅力と併せて知ってもらおうと汗を流す関係者がいる。それを踏みにじり、無にさせかねない行為だ
▼選手らは「支えてくれた人のために」と口にする。マネジャーや家族、ファンのことだろう。当然だが、戦えるのは相手がいるからだ。所属は違えど、同好の士を敬わずして何のための勝利か。支える人たちも離れてしまう。過ちを素直に改め、信頼回復に最善を尽くしてほしい。そこにしか新たな一歩は見いだせない。