<金口木舌>東日本大震災の県内避難者を支援・・・


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 東日本大震災の県内避難者を支援する協力会議が5日、「役割を終えた」と解散した。一報を4日前に知り、支援継続を訴えていた避難者の顔が浮かび、やるせない思いになった。時同じく震災の被災船が漂着との知らせが入った

▼岩手県山田町から波にさらわれた龍神丸が今帰仁村沖で見つかった。所有者の家族は再会を喜び、船名の刻銘版を持ち帰った。船は海流に乗って太平洋をぐるっと回った可能性がある。震災被害のすさまじさがよみがえる
▼震災から7年3カ月。船が漂流した距離は長いと言い切れるが、時間の受け止め方は被災者と支援する側で異なるようだ。沖縄では339人(18年5月)が避難生活を続け、このうち福島が195人と過半数を占める
▼福島県白河市で暮らしていた伊藤路子さんは娘と2人で原発事故直後から避難している。家族は離散し四重生活に。孫に会えず母と死別した。伊藤さんはことし70歳になった
▼協力会議は沖縄県内188の企業や団体で構成する。解散総会では参加者から事務局の県に対し、避難者への継続的な支援を求める声も上がった
▼伊藤さんの福島での時間は止まったままだ。「国策で福島は原発、沖縄は基地を押し付けられた。共通の痛みを知るからこそ理解し合える」と支援継続を望む。避難者の時間が進むかどうかは、共に歩む私たちにもかかっている。