<金口木舌>台風取材から戻ると、停電で真っ・・・


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 台風取材から戻ると、停電で真っ暗だった。一歩踏み出したとたん、滑って後頭部を床に強打した。救急車で運ばれたが、軽い脳振とうを起こし覚えていない

▼2002年9月の台風16号。大宜味村での取材帰り、倒木で進路をふさがれたり、飛んできた枝に運転していた車のガラスが割られたりした。散々な思いをして、やっとたどりついた北部支社での出来事だった
▼名護署は台風被害と認定しなかった。だが、台風で入り込んだ雨水で滑ったのだから関係ないとは言えないだろう。屋内で被害に遭うとは考えてもおらず、災害で油断は大敵だと思い知った。16日、沖縄本島に最接近した台風6号が猛威を振るった
▼暴風域はなかったが、強風で3人がけがを負った。梅雨前線を刺激し、記録的な大雨は各地で被害を与えた。足も速く、気付いたら強風、大雨に翻弄(ほんろう)されていた。台風への油断は過去も何度か経験した
▼14年8月の台風12号は吹き返しの風が強く、けが人が多く出た。それこそ突然発生する地震でも油断は命に危険を及ぼす。西牟田靖さんのルポ「本で床は抜けるのか」を読んだ。置き場所が悪ければ大量の本で床は抜けるし、倒れると本自体が凶器になる
▼寝床で頭のそばに本が積み上がっているのに気付き、慌ててほかの場所に移した。「油断大敵」を肝に銘じたい。今年も台風の季節が来た。