<金口木舌>この時期に「ダイヤル、ダイヤル、・・・


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 この時期に「ダイヤル、ダイヤル、ダイヤル、ダイヤル」の歌詞を思い出すのは40代より上だろうか。ラジオの子ども科学電話相談が始まった。冒頭のフレーズはかつて放送された「こども電話相談室」のテーマソングだった

▼新聞で電話番号を示す場合、冒頭に(電話)の表記を付けるのが決まり。モデルはダイヤル式だろう。黒電話を見たことがない若い人もいるというから、このマークも古びてきてはいる
▼登録アドレスを一押しすれば電話がかけられる時代だ。音声認識を使えば声掛けのみでメール送信もできる。通信アプリLINE(ライン)は、送った文面が読まれたかどうかまで分かる
▼「既読」が付かないと、いら立つという人もいる。かつてを思い返し「ダイヤルの戻りを待つ間に風情があった」なんて言うと、あきれられそうだ。便利になったのは確かだが、何か気ぜわしい
▼きょう火星が地球に5759万キロまで近づく。6千万キロより近くなるのは15年ぶり。大接近とされるが、車で向かうと仮定すると時速100キロで走らせ続けて66年かかる距離になる
▼火星近くに見えるアンタレスは光の速さで約619年の向こうから輝きを放つ。地球との間に悠久の時間と空間がたゆたう。漆黒の闇に輝く天体のロマンに思いをはせたい。しばし酷暑を忘れさせ、豊かでおおらかな心持ちを取り戻させてくれるはずだ。