<金口木舌>日本語の会話には英単語が多く出てくる。中学生の頃、英語教師に・・・


この記事を書いた人 琉球新報社

 日本語の会話には英単語が多く出てくる。中学生の頃、英語教師に「だから皆さんは英語を習得しやすい」と言われた。納得したが、できないままだ

▼言い訳でしかないが、英単語にはよく知られた意味以外にも違う語義があるものだ。「長い」の「long」は「熱望」や「切望」も意味する。直訳すると「昨日を熱望する」と歌う曲がある
▼ビートルズの「イエスタデイ」だ。「Now I long for yesterday」とつづる。「ビートルズ全詩集」(内田久美子訳)は「今はただ幸福だった昨日が懐かしい」と訳す
▼恋の歌だと思っていた。作ったポール・マッカートニーが若くして亡くなった母を歌ったと語ったこともあるようだ。いずれにせよ、過ぎた日々に向き合う意味だ
▼この曲の入ったアルバムが英国で発売されたのは1965年8月6日。広島への原爆投下から20年後のこと。そう教えてくれたのは広島で活躍するヴィオラ奏者の沖田孝司さんだ。6月に沖縄市で開いたミニコンサートで語った。過去に向き合う心の大切さをさりげなく説いた
▼原爆で焼き尽くされた街の復興は、緑濃き街再びと立ち上がった人々の力による。失われた一つ一つの命の無念が基にある。体験者の減少による記憶の風化が言われる。曲が歌い継がれるように、私たちはいつまでも語り継がねばならない。