<金口木舌>小学生の頃は恐竜が好きだった。暇があれば恐竜図鑑ばかり眺めて・・・


社会
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 小学生の頃は恐竜が好きだった。暇があれば恐竜図鑑ばかり眺めていた。先日、沖縄美ら島財団と琉球新報社主催の「ティラノサウルス展」に足を運び、久しぶりに巨大生物の世界に思いをはせた

▼恐竜の一部に羽毛が生えていた、という研究の成果は知っていた。ただ、実際に羽毛がふさふさに生えた復元模型を目にすると、図鑑で見た記憶との違いに目を見張った
▼変化は他にもある。子どもの頃、大型の恐竜として親しんでいた「ブロントサウルス」は近年の図鑑には記述されていない。別の恐竜と同種だったことが分かり、学名が抹消されたという
▼新たな研究の成果で変更された事例は他にも多い。子どもの頃、「水金地火木土天海冥」と覚えていた惑星のうち「冥王星」が2006年、準惑星に格下げされた。今惑星の数は八つと指導されている
▼鎌倉幕府が成立した年は1192年ではなく1185年。645年に起きたのは大化の改新でなく「乙巳(いっし)の変」。研究の成果によって、学習して覚えてきた内容に変化が生じると戸惑ってしまうのも事実だ
▼研究が進み、新事実が明らかになることにはロマンも感じる。一方で、自らのイデオロギーに合うよう記述を修正する歴史修正主義には警戒が必要だ。変化の裏に政治的な思惑がないか見極めよう。恐竜のように滅びてしまわないように。