<金口木舌>沖縄とハワイの絆の象徴がまた一つ増える。県人会組織ハワイ沖縄連合会・・・・


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 沖縄とハワイの絆の象徴がまた一つ増える。県人会組織ハワイ沖縄連合会(HUOA)の活動資金を捻出するための商業施設「ハワイ沖縄プラザ」が、9月の沖縄フェスティバルに合わせて落成する。全県的な寄付も集まった

▼その場を見届けたかったに違いない。HUOAの専務理事、勢理客ジェーンさんが現地時間の7月6日、亡くなった。享年79歳。沖縄にとってハワイの顔といえた
▼中城村にルーツを持つ2世。1993年にHUOA初の女性会長を務め、2006年から専務理事に。双方の訪問者をつなぐ調整役として民間から行政まで幅広い交流を支援した。来沖のたび、プラザの建設費支援も呼び掛けた
▼記者の相談にも快く応じ、テーマに沿って取材相手を紹介した。地理に不慣れだろうと気遣い、車を走らせて送迎もした。母親のような優しさに助けられた沖縄からの訪問者も多い
▼小学校長も勤め、教育への情熱も傾けた。28年以上にわたり高校生の交換留学事業に携わり、双方の参加者は1千人を超えた。英語と日本語で幾度も語った。「若い県系人に沖縄の歴史、文化を学んでほしい」
▼8月9日、ハワイでの追悼式。好きだった「てぃんさぐぬ花」が会場で演奏された。歌詞には「親ぬゆしぐとぅや 肝に染みり(親の言葉を心にとめる)」の一節。先人の思いを次代へ。勢理客さんが託した願いだ。