<金口木舌>ソウルの女王と平成の歌姫にリスペクト


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 その日は1日中、彼女の曲がラジオで流れていた。米メディアは速報や特番を流し、街を歩けば、行き交う車からパワフルな歌声が響いていた

▼「ソウルの女王」と呼ばれたアレサ・フランクリンさんが亡くなった日、全米が追悼ムードに包まれた。代表曲「リスペクト」は公民権運動や女性解放運動のアンセム(賛歌)として時代を築いた。豊かな感情を込めた歌声は半世紀以上にわたり、人々の心を引き付けた
▼オバマ前大統領夫妻はこんな言葉をつづった。「彼女は人と人とのつながり、希望、人間性をより強く感じさせてくれた。また時には、全てを忘れて踊りたい気分にもさせてくれた」
▼「平成の歌姫」安室奈美恵さんもフランクリンさんの曲「ロック・ステディ」のリメークに挑戦している。歌とダンスが大好きで、はにかむ笑顔が印象的だった少女はJポップの頂点を極め、ヒップホップ、R&Bなどさまざまなジャンルを吸収し、進化を続けた
▼音楽、ファッション、生き方。信じる道を歩む、りんとした姿とファンを大切にする誠実さは日本、そしてアジアを魅了した。そんな安室さんが県民栄誉賞の授賞式でそっと涙をぬぐった姿に、深いウチナー愛を感じた
▼四半世紀を駆け抜けた歌姫の引退が目前に迫る。人生の新たなステージに旅立つ彼女に贈りたい。たくさんの「ありがとう」の花束を。