<金口木舌>友蔵、心の俳句


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 8月15日に亡くなった漫画家さくらももこさんの代表作「ちびまる子ちゃん」。テレビアニメも放映され、国民的な人気だ。多彩な登場人物の中で、まる子を溺愛する祖父・友蔵が存在感を示す

▼いつでも孫の味方は、さくらさんの理想像だろうか。一喜一憂する姿は「友蔵 心の俳句」の場面でおなじみ。俳句や名言をまとめた「友蔵の友」(フジテレビ出版)を読むと次世代への思いがあふれる
▼「こんなに速く走ったのは空襲から逃げた時以来じゃ」と語る友蔵は戦争体験者。世界大戦を憂い、願う。「まる子がばあちゃんになっても、ずっと平和な世界が続くといいのう」
▼本紙連載がじゅまるファミリーの亀吉おじぃとチルーおばぁは沖縄戦を体験した。2人が平和の尊さを伝える話も多い。時には、しまくとぅばや昔ながらの沖縄の知恵を孫のマンタらに授ける
▼きょうは敬老の日。年を重ね、長く社会に尽くした人を敬う。家族、知人、近隣、遠方の人など、心に浮かぶイメージはさまざまだろう。大切なのは気持ち。まる子のようにおしゃべりをするだけでも喜ばれるはずだ
▼友蔵は詠む。「孫のため 年金使う 覚悟せむ」。高齢化社会と働き手減少で政府は雇用継続を70歳まで、年金受給年齢70歳超を検討する。もう一句。「ウニなんて わしも食べたい だけどシメサバ」。友蔵のため息が聞こえる。