<金口木舌>お忙しいところすみませんが。。。


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 「お忙しいところすみません」。かかってきた電話で見知らぬ相手からいきなりそう言われたら、どんな印象を受けるだろうか

▼コメディーとSFを織り交ぜた米映画「ソーリー・トゥ・ボザー・ユー」の主人公は黒人男性のカシアス。うだつが上がらない彼は電話でセールスをするコールセンターで働くことになった。ある方法を始めて一気に業績が上がる。それは「白人男性の話し方」だった
▼人種差別や資本主義社会の賃金格差、政治、社会情勢への風刺をたっぷり込めた物語の結末は思いも寄らない展開になる。映画を見ながら、県内で集積が進んだコールセンターを思い浮かべた
▼以前に取材した経営者は沖縄の、特に女性従業員のホスピタリティー(もてなし)を高く評価していた。最近はチャットボットと呼ばれる人工知能(AI)を活用した問い合わせ自動プログラムも広がる。「声」で信頼を得ていた仕事をどう変えていくのか
▼選挙では「声」が投票の指標になる、と米科学者らの研究が示している。架空の政治家の声を聞かせた実験で被験者は低い声の候補者を選ぶ傾向が出た。候補者選びの要因の一つが声であり、印象に左右されることが多いと指摘している
▼有権者の声にきちんと耳を傾け、私たちの未来を託せるのは誰か。「印象操作」に惑わされず、しっかり投じたい。大切な1票を。