<金口木舌>テイラー・スウィフトさんの政治的発言


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 よほど腹に据えかねたのだろう。米人気歌手テイラー・スウィフトさんが11月の中間選挙で野党民主党の候補に投票するとインスタグラムで表明した

▼「この国で生きる人たち全てが享受する人権を守るため」。スウィフトさんは理由を説明する。ニュースサイト、ハフィントンポストは「これまで『政治に無関心なポップスター』として悪名高かった」とスウィフトさんを評していた
▼日本では芸能人が政治的な発言をすることは珍しい。政治的発言をすると「偏向している」「炎上商法」などと批判や中傷にさらされるからだ。米国は、そんな日本の芸能界とは趣を異にする
▼スウィフトさんが特に問題視したのは「差別」。性的少数者「LGBT」への差別について「間違っている」と断言し、ゲイカップルに結婚する権利がないとの考えを示す共和党候補を批判した
▼LGBTに対する差別は国を問わず存在するが、とりわけ問題なのは政権与党側に「生産性がない」と発言するなど、差別を是とする政治家が存在することだ。権力者が少数派を差別すれば、少数派を排除する空気が社会に醸成されかねない
▼県内では那覇市が2015年に、浦添市が17年に性の多様性を尊重するレインボー宣言を発表した。民主国家の理想は「全ての人がすみよいまち」。中傷やデマではなく、自由に理想を語れる社会にこそ健全さを感じる。